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医師が解説!令和時代の疲労解消法とは?

【執筆】Wellness医師

「なんとなく疲れがとれない」「だるい」

そんな症状が続いてはいませんか?私たちも手術を終えた後や外来を終えた後、思わず「疲れたー」と声に出てしまうことはあります。『疲労』は誰もが感じるものです。

しかし、それがいつまでも続いてしまう状態や、どんどんひどくなってしまう状態は問題です。疲労は、そのメカニズムと対処法について予め知っておくことで予防することができ、日々のパフォーマンスを低下させる負のスパイラルを避けることができます。

この記事を読めば、令和を生きる現代人の疲労の原因を網羅的に理解することができ、どのように改善していけばいいかの道筋が分かります。

まず、「疲労(医学的には、全身倦怠感と表現します)」を起こす原因は様々です。重要なのは、「まず病気を否定すること」です。あまりに症状が長引く場合や随伴症状(発熱やふらつきなど)がある場合には病気が隠れていることがあるため、病院受診を検討します。

「エネルギー・栄養素不足」は確かに疲労を起こしますが、飽食の時代を生きる現代人においてこれが大きな原因になっているケースはまれです(逆に食べすぎで疲労を起こしているケースは多い…)。つまり、焼肉やうなぎやスタミナ丼を食べても、疲労は回復しないわけです。

現代人の疲労の最大の原因になっているのは「酸化ストレス」の蓄積です。長時間のデスクワークや人間関係のストレスによって生じた酸化ストレスが、自律神経等の細胞を攻撃し、疲労因子を放出します。私たちの疲れは、「脳」で知覚されています。

ここで、疲労が酸化ストレスの蓄積によって起こるという前提に立つと、疲労感を避けるための解決策は以下のスライドに集約されます。

疲労因子の発生を防ぐ

まず根本的に、疲労因子の発生(=酸化ストレス)を防ぐ必要があります。そのためには、「ストレス因子に触れない」「ストレス因子に触れたときのダメージを減らす」「細胞を攻撃する前に酸化ストレスを打ち消す」という3つの解決策が考えられます。

1, ストレス因子に触れない

そもそもですが、「ストレス因子に触れない」ことが重要です。これは、花粉症において花粉がない地域に逃げるのが最も有効であるのと同様、最も効果のある方法です。「逃げる」技術は非常に重要なんですね。
とはいえ、仕事や家庭を簡単に変えることは困難なので、どうしても避けられないor避けることがむしろさらに大きなストレスになるようなケースは確かにあります。
このような場合は、ストレス因子に立ち向かうスキルが役に立ちます。

2, ストレス因子に触れた時のダメージを減らす

次に考えられるのは、ストレスに出会ったときにすぐその事に気付き、ダメージを最小化することです。人は何かストレスに触れたとき、無意識のうちにそれについてネガティブな思考を繰り返しています。「ぼーっと何かを考えている状態(気づいたら電車乗り過ごしてた、とかですね)」がこれに当たります。このとき、脳ではデフォルトモードネットワーク(DMN)という領域が活性化し、大きなエネルギー・酸素を消費しています。つまり、沢山の酸化ストレスが発生しています。

この「心ここにあらず(=マインドレス)」な状態を避けるためのトレーニングが、「いまここに集中する」マインドフルネスです。マインドフルネスを習慣化することによって、自分の思考を制御し、無意識にネガティブな感情やストレスが増幅するのを防ぐことができます。


実際マインドフルネスを習慣的に行うことで、注意や決断の際に重要な前頭前野の活性化を起こすとととに、情動系を司る扁桃体の活動が抑制されます。うつ病の方では扁桃体の過活動が起こっていることが分かっており、マインドフルネスによってネガティブな情動の増幅を防ぎうつ病を予防できる可能性があります。
(※)実際、うつ病患者の治療・再発予防についてはエビデンスが蓄積されつつあります。

3, 細胞が攻撃される前に酸化ストレスを打ち消す

とはいえ、このストレス社会で生きている限り、やはり一定の酸化ストレスは発生します。しかし、細胞を攻撃して自律神経が乱れる前の段階で抗酸化作用を示す食物をとることで、ストレスを軽減することはできます。

抗酸化作用を示す成分としてはビタミンC/Eやカテキン、ポリフェノールなどさまざまなものが言われていますが、最もエビデンスがあるものは『イミダペプチド』というタンパク質です。鶏肉や魚肉に豊富に含まれています。

「疲れたときはウナギ!スタミナ丼!」というのはエネルギーや栄養の不足が起こりえた過去の疲労回復法です。いま疲れているときに食べるべきは、鶏胸肉やカツオなどですね。

生じた疲労因子を打ち消す

色々疲労を溜めないための工夫をしてはいても、やはり疲れてしまうことってありますよね。生じてしまった疲労因子は、疲労回復因子と呼ばれるもので打ち消すことで取り除くことができます。ではこの疲労回復因子はいつ出てくるのでしょうか?答えは、「睡眠中」と「軽い運動の後」です。(ほとんどは睡眠です)

つまり、溜まってしまった疲労を取り除こうと思ったら、マッサージに行こうが、抗酸化作用のある物質をとろうが、直接的な効果はないといえます。「まずしっかり眠る」ことが不可欠なのです。

とはいえ、現代人の20%は不眠症に悩んでいます。これでは疲労は溜まる一方でしょう。睡眠の課題を改善するためには、まず4種類の睡眠障害について理解する必要があります。それぞれについて、考えられる原因が山ほどあるからです。

一般的に睡眠にいいと言われているものが全ての人に当てはまるということはないので、睡眠改善のための施策は、一人一人にパーソナライズされるべきということも重要です。例えば、中途覚醒やリズムの障害で悩んでいる方が入眠を促すサプリや健康法を試しても意味がないわけです。

睡眠の課題は万人の課題といえる時代だからこそ、正しく眠るスキルを身につけることが重要ですね(勿論大前提として、最低限の睡眠時間を確保するためのライフスタイルの工夫も重要です)。

では、どうやって始めよう?

さて、ここまで疲労の基本的なメカニズムと対処法について学んできました。疲労は、頭痛や花粉症と違って放置されがちな症状です。しかし、重要な病気が隠れている可能性もあります。また、例えそうでなかったとしても、著しくパフォーマンスを低下させることで自分自身も周りの人もネガティブな影響を受けてしまいます。

自分のライフスタイルのどこに疲労の原因があり、どのように解決していくべきか?計画をたてて一つずつ取り組みましょう。しかし、その選択肢が多いことが問題です。

「食生活を改める」「睡眠時間を確保するためにライフスタイルを見直す」「睡眠の質を高めるためのエッセンスを学ぶ」「マインドフルネスを初めてみる」「睡眠時無呼吸かもしれないから病院にいく」・・・・・

「どれから始めたらいいの?」と迷ってしまいますよね。そんな方は是非、Wellness Coachingで医師に相談してみてください。疲労に関して知見の深いドクターがマンツーマンで相談に乗り、一人一人のライフスタイルや目標に合わせて、最適な解決策とプロセスを一緒に考えます

病院に行かざるを得ない状況になる前に、未病の段階で対処しましょう!

【執筆者】

中田航太郎
救急総合診療科医



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